兄弟姉妹の遺産は誰が相続する?兄弟姉妹が亡くなったときの相続について弁護士が詳しく解説

兄弟姉妹が亡くなったとき、その遺産を誰がどのような割合で相続するのか、正確に把握している方は少ないかもしれません。

兄弟姉妹は法定相続人の中で第3順位に位置し、遺留分が認められないなど、他の相続とは異なる重要なルールがあります。

本記事では、兄弟姉妹の遺産相続における法定相続分の考え方から、遺産分割協議の進め方、よくあるトラブルとその解決方法まで、弁護士が詳しく解説します。相続手続きをスムーズに進めるために、ぜひ参考にしてください。

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目次

1. 兄弟姉妹が亡くなったときの遺産相続の基本

1.1 法定相続人とは何か

人が亡くなると、故人が持っていた財産(遺産)は誰かに引き継がれます。この財産を引き継ぐ権利を持つ人のことを「相続人」といいます。

相続人には、故人(被相続人)が遺言書で指定した人が含まれる場合もありますが、遺言書がない場合や遺言書に記載がない場合には、民法によってあらかじめ相続人の範囲と順位が決められています。この民法で定められた相続人のことを「法定相続人」と呼びます。

法定相続人になれるのは、配偶者(婚姻届を提出した夫または妻)と、一定の血族です。内縁関係のパートナーや、婚姻届を出していない事実婚の相手は、たとえ長年一緒に生活していたとしても、法定相続人にはなれません。この点は大きな誤解が生まれやすい部分ですので、注意が必要です。

1.2 相続順位と兄弟姉妹の位置づけ

法定相続人となる血族には、民法によって相続の順番(相続順位)が定められています。

配偶者は常に相続人となり、血族の相続人とともに遺産を受け取ります。血族の相続順位は以下のとおりです。

相続順位法定相続人具体例
第1順位子(直系卑属)、孫(代襲相続の場合)実子・養子・認知された子、子がいない場合の孫など
第2順位父母・祖父母(直系尊属)父・母・祖父・祖母など
第3順位兄弟姉妹兄・弟・姉・妹(全血・半血を含む)

上位の順位の相続人がひとりでもいる場合には、下位の順位の相続人は相続人になれません。

つまり、兄弟姉妹が法定相続人になれるのは、亡くなった人に子がおらず、父母や祖父母などの直系尊属も誰もいない場合に限られます。

1.3 兄弟姉妹が法定相続人になるケース

具体的に、兄弟姉妹が法定相続人になるのはどのような状況でしょうか。主に次のような場合が考えられます。

状況兄弟姉妹が相続人になるか
故人に子がいない・父母も祖父母もすでに亡くなっているなる(第3順位として相続人になる)
故人に子がいるならない(第1順位が優先)
故人に子はいないが、父または母が存命ならない(第2順位が優先)

たとえば、独身で子どももなく、両親もすでに他界している兄や姉が亡くなった場合、残された兄弟姉妹が相続人となります。

また、亡くなった人に配偶者がいる場合には、配偶者と兄弟姉妹がともに相続人となり、遺産を分け合うことになります。

なお、兄弟姉妹が相続人になる場面は決して少なくありません。少子化や未婚化が進む現代では、子のいない方が亡くなるケースが増えており、兄弟姉妹が遺産相続に関わる機会も増えています。

自分がいつ相続人になるかわからないため、基本的な知識を持っておくことがとても大切です。

2. 兄弟姉妹が亡くなったときの遺産の法定相続分

兄弟姉妹が亡くなったとき、遺産をどのような割合で分けるかは、法律によって定められています。この割合を「法定相続分」といいます。

法定相続分は、誰が相続人になるかによって変わります。以下では、代表的なケースごとに詳しく解説します。

2.1 配偶者がいる場合の相続割合

亡くなった兄弟姉妹に配偶者(夫または妻)がいる場合、配偶者は常に相続人となります。そして、ほかに相続人がいる場合は、その相続人の順位に応じて相続割合が変わります。

兄弟姉妹は相続順位の第3順位にあたります。つまり、第1順位の子どもも、第2順位の親・祖父母もいない場合に、はじめて兄弟姉妹が相続人になります。この場合の法定相続分は配偶者が4分の3、兄弟姉妹全員の相続分が4分の1となります。

たとえば、故人に配偶者と兄弟姉妹が2人いる場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹はそれぞれ8分の1ずつを取得することになります。兄弟姉妹が複数いるときは、4分の1を人数で均等に割ることになります。

2.2 配偶者がいない場合の相続割合

亡くなった兄弟姉妹に配偶者がおらず、子どもも親・祖父母もいない場合は、兄弟姉妹が遺産のすべてを相続します。

たとえば、兄弟姉妹が3人いる場合は、それぞれが3分の1ずつ相続します。

なお、配偶者がいない場合でも、亡くなった方に認知した子どもや養子がいれば、その子どもが第1順位の相続人となるため、兄弟姉妹は相続人にはなれません。相続人の調査は慎重に行う必要があります。

2.3 半血兄弟姉妹(異母・異父兄弟姉妹)がいる場合の相続割合

「半血兄弟姉妹」とは、父母のどちらか一方だけが同じである兄弟姉妹のことをいいます。

たとえば、父が同じでも母が異なる「異母兄弟姉妹」や、母が同じでも父が異なる「異父兄弟姉妹」がこれにあたります。これに対して、父母の両方が同じ兄弟姉妹を「全血兄弟姉妹」と呼びます。

民法900条4号の規定により、半血兄弟姉妹の法定相続分は、全血兄弟姉妹の相続分の2分の1とされています。

たとえば、全血兄弟姉妹が1人、半血兄弟姉妹が1人いる場合、全血兄弟姉妹が3分の2、半血兄弟姉妹が3分の1を相続することになります。

再婚家庭など家族関係が複雑なケースでは、誰が全血でどちらが半血かを戸籍で丁寧に確認することが大切です。

3. 兄弟姉妹の遺産相続で知っておくべき重要ポイント

兄弟姉妹が法定相続人になるケースでは、他の相続順位とは異なるルールがいくつか存在します。相続手続きをスムーズに進めるために、事前にしっかりと把握しておきましょう。

3.1 兄弟姉妹には遺留分がない

遺留分とは、一定の相続人に対して法律が保障する最低限の相続財産の取り分のことです。

しかし、兄弟姉妹には遺留分が認められていません。これは民法1042条に定められており、遺留分を持つ相続人は、配偶者・子ども・直系尊属(父母や祖父母)に限られます。

そのため、故人が「財産をすべて配偶者に渡す」「特定の友人に全額遺贈する」といった内容の遺言書を残していた場合、兄弟姉妹はその遺言の内容に対して遺留分侵害額請求をすることができません。

遺言書の内容が自分にとって不利であっても、原則としてその遺言に従わなければならない点は、兄弟姉妹が相続人になる場合の重要な特徴です。

3.2 代襲相続は甥・姪の1代限り

相続人となるはずだった人がすでに亡くなっている場合、その人の子どもが代わりに相続する「代襲相続」という制度があります。

兄弟姉妹が相続人になるケースでも、この代襲相続は適用されます。ただし、兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪の1代限りという点に注意が必要です。

たとえば、故人の兄がすでに亡くなっていた場合、その兄の子ども(甥・姪)が代わりに相続人となります。しかし、甥・姪もすでに亡くなっている場合、その子ども(故人からみてひ甥・ひ姪)は代襲相続人にはなれません。

子どもの場合は何世代にもわたって代襲が認められていますが、兄弟姉妹については1代に限定されている点が大きな違いです。

4. 兄弟姉妹の遺産相続における遺産分割協議の進め方

兄弟姉妹が亡くなって相続が始まったとき、相続人全員で遺産の分け方を話し合う手続きを「遺産分割協議」といいます。

この協議をスムーズに進めるためには、正しい手順を踏むことがとても重要です。ここでは、遺産分割協議の具体的な進め方について順を追って説明します。

4.1 相続人の調査と確定

遺産分割協議を始める前に、まず「誰が相続人なのか」をきちんと確認しなければなりません。自分が把握している家族関係と、法律上の相続人が異なるケースは少なくないからです。

相続人を確定するためには、故人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍謄本を含む)を取り寄せる必要があります。

これにより、認知した子どもや過去の婚姻で生まれた子どもなど、知らなかった相続人が存在していないかを確認できます。

兄弟姉妹が相続人となる場合は、故人の両親の戸籍も調査する必要があります。一方の親が異なる半血兄弟姉妹の有無や、すでに亡くなっている兄弟姉妹の子(甥・姪)が代襲相続人になっていないかも合わせて確認しましょう。

4.2 遺産の調査と財産目録の作成

相続人が確定したら、次は亡くなった方の遺産の内容を調べます。プラスの財産(積極財産)だけでなく、借金などのマイナスの財産(消極財産)も含めて調査することが必要です。

財産の種類主な調査方法
不動産固定資産税の納税通知書、法務局で登記簿謄本を取得
預貯金・銀行口座通帳・キャッシュカードの確認、各金融機関への照会
有価証券・株式証券会社、証券保管振替機構への照会、郵便物の確認
生命保険保険証券の確認、保険会社への照会
借金・ローン信用情報機関への照会、郵便物の確認

調査が終わったら、すべての財産をまとめた「財産目録」を作成します。財産目録を作成しておくことで、相続人全員が遺産の全体像を正確に把握でき、協議をスムーズに進めることができます。

財産の見落としや後からの紛争を防ぐためにも、丁寧に作成することをおすすめします。

4.3 遺産分割協議書の作成

相続人全員で話し合い、遺産の分け方が決まったら、その内容を書面にまとめます。これが「遺産分割協議書」です。

遺産分割協議書には、決まったフォーマットはありませんが、次の内容を盛り込む必要があります。

  1. 故人の氏名・死亡日・本籍・住所
  2. 相続人全員の氏名・住所
  3. 各財産の取得者と取得する財産の内容(不動産であれば所在・地番・地目・地積など登記簿上の表記)
  4. 相続人全員の署名と実印による押印

遺産分割協議書は、相続人全員の合意がなければ成立しません。一人でも協議に参加していない相続人がいたり、署名・押印がなかったりすると、無効になってしまいます。また、相続人全員の印鑑証明書も別途取得しておく必要があります。

4.4 相続手続きの完了

遺産分割協議書が完成したら、その内容をもとに各種相続手続きを進めます。手続きの内容は財産の種類によって異なります。

不動産については法務局で相続登記を行います。なお、2024年4月1日以降は相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記を行わなければいけません。

預貯金については、各金融機関の窓口で所定の手続きを行います。相続税の申告が必要な場合は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に税務署へ申告します。

手続きごとに期限が異なるため、早めに動くことが大切です。

5. 兄弟姉妹の遺産相続でよくあるトラブル事例

兄弟姉妹間の遺産相続は、親子間の相続と比べてトラブルに発展しやすい傾向があります。日ごろから交流が少なかったり、それぞれの生活環境や価値観が異なったりすることが多いためです。

ここでは、実際によくあるトラブルの事例を具体的に紹介します。自分の状況と照らし合わせながら確認してみてください。

5.1 不動産の分割方法が決まらないケース

遺産の中に不動産が含まれている場合、その分割方法をめぐって兄弟姉妹の意見が対立することは非常によくあります。

不動産は現金と違って簡単に分けることができないため、相続人の間で話し合いがまとまらないケースが後を絶ちません。

たとえば、亡くなった兄弟姉妹が所有していた実家をどう扱うかについて、「売却して代金を分けたい」と考える相続人と、「思い出のある家を手放したくない」と考える相続人が対立するケースがよく見られます。

また、不動産を共有名義のまま相続してしまうと、後の売却や活用の際に全員の同意が必要になるなど、さらなるトラブルの火種になりがちです。

5.2 特別受益(生前贈与)をめぐるトラブル

故人が生前に特定の兄弟姉妹に対して多額の贈与をしていた場合、他の兄弟姉妹から不公平だという声が上がることがあります。

これを「特別受益」といい、民法上は一定の要件を満たす生前贈与を相続財産に加え直して(持ち戻して)、相続分の計算をし直すことができます。

たとえば、亡くなった兄弟姉妹の配偶者(義兄・義姉など)が「生前にうちの夫(妻)だけが親の面倒を見ていたのに、生前贈与の事実は知らない」と主張するなど、状況が複雑になるケースもあります。また、生前贈与の証拠が残っていない場合は、そもそも特別受益として認められるかどうかで争いになることもあります。

なお、相続開始から10年が経過すると、原則として特別受益の主張ができなくなります。

5.3 介護・寄与分をめぐるトラブル

亡くなった兄弟姉妹の療養看護に特別な貢献をした相続人は、「寄与分」として相続財産の一部を多めに取得できる可能性があります。

しかし、この寄与分の主張が認められるかどうかは、実際に争いになるケースが多くあります。

たとえば、兄弟姉妹の1人が長年にわたって入院中の故人の世話をし続けていたとしても、それが「特別の貢献」として法律上の寄与分と認められるためには、親族としての通常の貢献を明らかに超えている必要があります。そのため、実際には簡単には認められないのが実情です。介護の記録や日誌、領収書などの証拠をしっかり残しておくことが重要です。

なお、なお、相続開始から10年が経過すると、原則として寄与分の主張ができなくなります。

5.4 遺産が使い込まれていたケース

故人が生前に認知症などで判断能力が低下していた場合、特定の兄弟姉妹や配偶者が預金を無断で引き出していたというトラブルが起きることがあります。亡くなった後に通帳を確認して初めて気づくケースも少なくありません。

このような場合、使い込みが疑われる相手に対して不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求を行うことが考えられますが、使い込みの事実を立証するためには、預金の取引履歴や医療記録(認知症の診断時期など)を丁寧に収集・分析する必要があります。

こうした調査は専門知識が必要なため、弁護士への相談が有効です。

5.5 絶縁・疎遠な兄弟姉妹がいる場合のトラブル

長年にわたって連絡を取っていない兄弟姉妹がいる場合、遺産分割協議を進めることが困難になります。

相続人全員の合意がなければ遺産分割協議は成立しないため、疎遠な兄弟姉妹が協議に参加しなかったり、連絡自体が取れなかったりすると、相続手続きが長期間にわたって止まってしまう可能性があります。

また、故人に配偶者も子もいない場合、法定相続人を確定するために故人の出生から死亡までのすべての戸籍を取り寄せる必要があります。

その過程で、これまで存在を知らなかった異母・異父兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)が見つかり、驚くといったケースも実際に起きています。

このような場合も、相続人全員での協議が必要になるため、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

6. 兄弟姉妹の遺産相続トラブルを解決する方法

兄弟姉妹の遺産相続でトラブルが起きてしまった場合、どのように解決すればよいのでしょうか。

法律では、相続人同士が話し合いで解決できない場合に備えて、段階的な解決手段が用意されています。ここでは、トラブルを解決するための具体的な流れと方法を順番に説明します。

6.1 まずは遺産分割協議を行う

相続トラブルが起きた場合、最初のステップはやはり相続人全員による遺産分割協議です。

遺産分割協議とは、相続人が全員で集まり、誰がどの遺産をどのくらい引き継ぐかを話し合って決める手続きのことです。

この協議は、相続人全員が参加しなければなりません。一人でも欠けていると、協議自体が無効になってしまいます。そのため、まずは相続人の範囲を正確に確認することが大切です。

また、感情的な対立が激しい場合でも、話し合いの場を設けることには意味があります。直接顔を合わせることが難しければ、書面や電話、メールなどを使ってやり取りすることも可能です。

どうしても直接話し合えない場合は、弁護士に間に入ってもらうことで、冷静に協議を進めやすくなります。

遺産分割協議がまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」として書面にまとめ、相続人全員が署名・押印します。この書面は、不動産の名義変更や銀行口座の解約などの手続きで必要になります。

6.2 話し合いがまとまらない場合は遺産分割調停を申し立てる

話し合いがどうしてもまとまらない場合は、家庭裁判所に対して遺産分割調停を申し立てるという方法があります。

調停とは、裁判所の調停委員が間に入り、中立的な立場で当事者の意見を聞きながら、解決に向けた話し合いをサポートする手続きです。

調停の大きなメリットは、専門家が間に入ることで感情的な対立が和らぎやすく、また法的な観点から公平な解決策を提示してもらえる点です。相続人全員が同席する必要はなく、それぞれが別々に調停委員と話すことも可能です。

調停の申立ては、相続人のうちの一人が、故人の最後の住所地や相手方となる相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。

申立てに必要な書類や費用の目安は次のとおりです。

項目内容
申立先故人の最後の住所地や相手方となる相続人の住所地を管轄する家庭裁判所
主な必要書類申立書、故人の戸籍謄本(出生から死亡まで)、相続人全員の戸籍謄本、遺産に関する資料(不動産登記事項証明書、預金通帳の写しなど)
申立費用遺産の価額に応じた収入印紙代(数百円〜数千円程度)+郵便切手代
解決までの期間の目安数か月〜数年以上(案件の複雑さなどによる)

調停は話し合いの延長線上にある手続きですので、調停委員が解決策を強制的に決定することはありません。

あくまでも当事者全員が合意することで成立します。合意に至った場合は「調停調書」が作成され、これは確定判決と同じ効力を持ちます。

6.3 調停でも解決しない場合は遺産分割審判へ

調停を行っても相続人の間で合意が得られなかった場合、手続きは自動的に遺産分割審判に移行します。

審判とは、家庭裁判所の裁判官が証拠や主張をもとに判断を下し、遺産の分割方法を決定する手続きです。

調停と異なり、裁判官が最終的な結論を出すため、当事者の合意は不要です。

審判では、法定相続分や寄与分、特別受益などの法的なルールにもとづいて分割内容が決められます。審判の結果に不服がある場合は、即時抗告という形で争うことができます。

審判は強力な解決手段ですが、時間と費用がかかるケースも多く、相続人同士の関係がさらに悪化することもあります。

そのため、できる限り調停の段階での解決を目指すことが望ましいと言えます。弁護士に依頼することで、調停や審判の各段階で適切なサポートを受けることができます。

7. 兄弟姉妹の遺産相続トラブルを未然に防ぐための対策

兄弟姉妹の遺産相続におけるトラブルは、事前の準備と対策によってその多くを防ぐことができます。ここでは、相続が発生する前に取り組んでおきたい具体的な対策を解説します。

7.1 生前に遺言書を作成しておく

兄弟姉妹間のトラブルを防ぐうえで、もっとも効果的な方法のひとつが遺言書の作成です。

遺言書があれば、故人の意思を明確に示すことができるため、相続人同士の話し合いがまとまりやすくなります。

遺言書として主に利用されるものは、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

7.1.1 自筆証書遺言

① 作成方法

本人が全文・日付・氏名を自書し押印します。

② メリット

費用がかからず手軽に作成できます。

③ 注意点

形式不備により無効になるリスクがあります。

7.1.2 公正証書遺言

① 作成方法

公証人が関与して公証役場で作成します。

② メリット

法的効力が高く紛失・改ざんのリスクが低いです。

③ 注意点

公証人手数料などの費用がかかります。

7.1.3 公正証書遺言を推奨

とくに不動産や預貯金など複数の財産がある場合は、誰にどの財産を引き継がせるかを具体的に記載した公正証書遺言を作成しておくことを強く推奨します。

7.2 生前贈与や特別受益の記録を残しておく

相続人の中に、故人から生前に多額の援助や贈与を受けた方がいる場合、その事実が後々トラブルの原因になることがあります。

こうした生前贈与は「特別受益」として相続分の計算に影響することがあるため、贈与の内容・金額・時期などをきちんと記録として残しておくことが大切です。

具体的には、贈与契約書を作成しておく、銀行振込の履歴を保管しておくなどの方法が有効です。口頭での約束だけでは後から証明することが難しくなるため、書面での記録を習慣化しておきましょう。

7.3 家族間でのコミュニケーションを大切にする

法律的な準備と並んで重要なのが、日ごろからの家族間のコミュニケーションです。財産の内容や相続についての考え方を、元気なうちに家族で話し合っておくことが、相続トラブルの予防につながります。

疎遠になっている兄弟姉妹がいる場合や、以前から感情的な対立がある場合は、弁護士などの専門家を交えた話し合いの場を設けることも有効な選択肢のひとつです。

相続が発生してから慌てて動き出すのではなく、生前からできる備えをしておくことが、円満な相続への近道となります。

8. 兄弟姉妹の遺産相続を弁護士に相談するメリット

兄弟姉妹の遺産相続は、親の相続と比べて相続人の調査が複雑になりやすく、トラブルに発展するケースも少なくありません。

こうした場面では、相続問題に詳しい弁護士に相談することで、スムーズに手続きを進められる可能性が大きく高まります。

ここでは、弁護士に依頼することで得られる具体的なメリットや、相談すべきタイミング、費用の目安についてくわしく説明します。

8.1 弁護士が遺産分割協議を代理できる

遺産分割協議は、相続人全員で話し合いを行い、遺産の分け方を決めるための手続きです。しかし、相続人同士の関係が良好でない場合や、意見が対立している場合には、当事者だけで話し合いをまとめることは非常に難しくなります。

弁護士に依頼すると、依頼者の代理人として遺産分割協議に参加することができます。具体的には、以下のようなサポートを受けることが可能です。

  1. 相続人調査や相続財産の調査のサポート
  2. 相続人全員への連絡・調整
  3. 遺産分割協議における法的主張
  4. 遺産分割協議書の作成
  5. 遺産分割調停・審判における代理
  6. 不動産や預貯金の名義変更手続きのサポート

弁護士が間に入ることで、感情的な対立を和らげながら、法的に正しい形で話し合いを進めることができます。

また、調停や審判に移行した場合でも、同じ弁護士に引き続き依頼できるため、手続き全体を一貫してサポートしてもらえる点も大きなメリットです。

8.2 弁護士に依頼すべきタイミング

弁護士への相談は、トラブルが深刻になってからではなく、できる限り早い段階で行うことが理想的です。以下のような状況に当てはまる場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

状況弁護士に相談すべき理由
相続人の中に疎遠・絶縁状態の方がいる連絡方法や交渉方法について法的なアドバイスが必要になるため
相続人が多く、調整が困難な状況にある複数人との交渉を代理してもらうことで、負担を大幅に減らせるため
遺産の使い込みや隠匿が疑われる証拠の収集や法的手続きには専門知識が必要になるため
不動産など分割が難しい財産がある換価分割や代償分割など適切な方法を提案してもらえるため
遺言書の内容に疑問や異議がある遺言の有効性の確認や対応策の検討に法的判断が必要なため
相手方がすでに弁護士を立てている法律の知識がない状態では不利な立場になるリスクがあるため

相手方がすでに弁護士を立てている場合には、特に注意が必要です。法律の知識がないまま弁護士と交渉を行うと、自分にとって不利な条件での合意を求められるリスクがあります。

こうした場面では、できるだけ速やかに弁護士に依頼することが重要です。

8.3 弁護士費用の目安

弁護士費用は法律事務所によって異なりますが、一般的には以下のような費用がかかります。なお、弁護士費用の体系は各事務所で異なるため、事前に確認するようにしましょう。

費用の種類内容一般的な目安
相談料初回相談にかかる費用無料〜1万円/1時間 程度
着手金依頼時に支払う費用20万〜40万円程度
報酬金解決時に支払う成功報酬得られた経済的利益の10〜15%程度
実費郵便代・交通費・収入印紙代など案件ごとに異なる

兄弟姉妹の遺産相続は、相続人調査の複雑さやトラブルの発生リスクの高さから、早期に専門家のサポートを受けることが解決への近道となります。一人で抱え込まず、相続問題に精通した弁護士に相談することで、ご自身の権利を守りながらスムーズに手続きを進めることが可能です。

9. よつば総合法律事務所が選ばれる理由

9.1 相続チームによるサポート

当事務所には相続に特化した専門チームを設置しています。定期的に開催しているミーティングでノウハウの共有や案件の検討を行うことで、経験豊富な弁護士が依頼者にとっての最良の解決策を見つけます。

9.2 他の専門家との協力によるワンストップ対応

相続が発生したときは、税金の申告や登記などの手続きのために弁護士以外の専門家の協力が不可欠です。当事務所では、連携している税理士や司法書士、不動産鑑定士と共にワンストップで案件の解決に対応することが可能です。

9.3 アクセス良好な事務所

当事務所は大名古屋ビルヂング内に事務所を構えています。名古屋駅直結でアクセス良好のため、愛知県内の方だけでなく、三重県や岐阜県の方でも気軽にお越しいただくことができます。

9.4 オンラインでの相談可(全国対応可能)

親族間の相続のトラブルは精神的な負担が大きいことが多いです。当事務所は、早急なご相談に対応するため、依頼者の希望に合わせて電話の他にもZoomなどのオンラインでのご相談を受け付けております。また、相談は全国対応可能です。

9.5 初回相談無料

当事務所では、相続に関するご相談は初回60分無料で対応いたします。弁護士費用が発生する場合は、事前にお見積りを作成いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

10. まとめ

兄弟姉妹が亡くなった場合、故人に子や親がいなければ兄弟姉妹が相続人となります。

ただし、兄弟姉妹には遺留分がなく、代襲相続も甥・姪の1代限りという重要な特徴があります。半血兄弟姉妹の相続分は全血兄弟姉妹の半分となる点も覚えておきましょう。

遺産分割協議がまとまらない場合は、調停・審判へと進むことになります。トラブルを避けるためにも、早めに弁護士へ相談することが解決への近道です。

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