遺産の調査方法はどうすればいい?相続財産を見つけるための方法を弁護士が解説
相続が発生したとき、故人がどのような財産を持っていたか分からず、遺産の調査方法に悩む方は少なくありません。
預貯金や不動産、株式から借金まで、相続財産を正確に把握しなければ遺産分割協議も相続放棄の判断もできず、相続税申告にも支障が出てしまいます。
本記事では、不動産・預貯金・有価証券・負債など財産の種類ごとの具体的な調査方法について、弁護士が詳しく解説します。
相続放棄は3ヶ月以内、相続税申告は10ヶ月以内という期限があるため、早期に適切な調査を開始することが重要です。
無料相談実施中
目次

1. 相続財産が不明な場合に直面する問題
相続が発生したとき、亡くなった方がどのような財産を持っていたのかわからないというケースは珍しくありません。特に、親子でも財産の話をあまりしていなかった場合や、遠方に住んでいた場合には、相続財産の全容を把握できないまま手続きを進めなければならない状況に直面します。
相続財産が不明なまま放置すると、相続に関連する法律上の期限に間に合わなくなったり、相続人の間でトラブルが発生したりする可能性があります。
ここでは、財産が不明な場合に直面する具体的な問題について解説します。
1.1 遺産分割協議ができない
遺産分割協議は、すべての相続財産を明らかにした上で、誰が何を相続するかを相続人全員で話し合って決める手続きです。しかし、相続財産の全体像が把握できていない状態では、公平な遺産分割を行うことができません。
たとえば、不動産と預貯金だけを確認して遺産分割協議を終えた後に、多額の株式や生命保険金の存在が判明した場合、再度協議をやり直す必要が出てくるかもしれません。
このような事態を避けるためにも、遺産分割協議を始める前に、できる限り財産調査を尽くしておくことが重要です。
また、負債の存在を見落としたまま遺産分割を行ってしまうと、後から借金の返済義務を負うことになり、相続人にとって大きな負担となる可能性があります。遺産分割協議を行うと、相続を単純承認したことになり、相続放棄ができなくなる可能性が高いからです。
1.2 相続放棄の判断ができない
相続放棄は、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければならないと民法で定められています。この期間内に、プラスの財産とマイナスの財産を比較して、相続するか放棄するかを決めなければなりません。
しかし、財産調査が不十分なまま期限が迫ってくると、適切な判断ができないまま選択を迫られることになります。特に、負債の存在が後から判明した場合、すでに相続を承認していると相続放棄ができなくなってしまいます。
なお、3ヶ月の期間内に財産調査が終わらない場合には、家庭裁判所に申立てをすることで相続放棄の期間を延長してもらうことも可能です。ただし、この手続きも期限内に行う必要があるため、早めの対応が求められます。
1.3 相続税の申告に影響が出る
相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなければならないと定められています。この期限内に、すべての相続財産を正確に把握し、評価額を算出して申告する必要があります。
財産の全容が把握できていないと、相続税の計算が正確にできず、次のような問題が生じる可能性があります。
まず、財産を少なく申告してしまった場合、後から税務署に指摘されると、本来の税額に加えて過少申告加算税や延滞税などのペナルティが課されることがあります。逆に、財産を多く見積もって申告した場合には、本来払わなくてもよい税金を支払うことになります。
また、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった相続税の特例制度を適切に活用するためにも、すべての財産を正確に把握しておくことが不可欠です。これらの特例を使うことで、相続税を大幅に減らせる可能性があります。
相続財産が複雑な場合や、調査に時間がかかる場合には、税理士と連携しながら計画的に進めることが重要です。
2. 遺産調査を始めるために必要な書類
遺産の調査を開始する前に、まず準備しなければならない重要な書類があります。これらの書類は、あなたが相続人であることを証明し、金融機関や役所などに対して遺産に関する情報開示を請求する際に必要となります。
適切な証明書類がなければ、たとえ相続人であっても遺産の情報を得ることができませんので、最初にしっかりと準備しておくことが大切です。
2.1 戸籍謄本の収集方法
遺産調査において最も基本となるのが戸籍謄本です。多くの場合、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取得する必要があります。これにより、相続人が誰であるかを確定することができます。
戸籍謄本の収集は、被相続人の本籍地の市区町村役場で行います。被相続人が転籍や婚姻によって本籍地を移している場合は、それぞれの本籍地があった市区町村で戸籍謄本を取得しなければなりません。
古い戸籍は改製原戸籍や除籍謄本という形で保管されていますので、窓口で「相続手続きのため、出生から死亡までのすべての戸籍が必要です」と伝えると、必要な戸籍を案内してもらえます。
遠方の市区町村の戸籍を取得する場合は、郵送での請求も可能です。その際は、請求書(各市区町村のホームページからダウンロード可能)、手数料分の定額小為替、返信用封筒、本人確認書類のコピーなどを同封して送付します。
また、相続人自身の現在の戸籍謄本も必要です。これは、被相続人の相続人であることを証明するために使用します。
金融機関や法務局への照会の際には、被相続人の戸籍だけでなく、相続人の戸籍も求められることが一般的です。
2.2 法定相続情報一覧図の取得
法定相続情報一覧図とは、被相続人の相続関係を法務局が証明する書類で、戸籍謄本の束に代わるものとして利用できる便利な制度です。遺産調査を効率的に進めるうえで非常に役立ちます。
この一覧図を取得しておけば、複数の金融機関に照会する際に、それぞれに戸籍の束を提出する必要がなくなります。一覧図は法務局から無料で何通でも発行してもらえるため、同時に複数箇所へ照会を行う場合に特に便利です。
法定相続情報一覧図を取得するには、まず被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて収集します。
次に、相続関係を一覧にした図を作成し、必要書類とともに法務局に申請します。申請は、被相続人の本籍地、最後の住所地、申出人の住所地、または被相続人名義の不動産の所在地を管轄する法務局で行うことができます。
申請に必要な書類は以下のとおりです。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本
- 被相続人の住民票の除票・戸籍の附票の除票
- 相続人全員の現在の戸籍謄本・抄本
- 申出人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 法定相続情報一覧図(自分で作成したもの)
その他にも、場合によっては相続人の住民票・戸籍の附票や代理人の委任状が必要になります。
一般的には申請から通常5営業日程度で、認証文付きの法定相続情報一覧図が交付されます。
この一覧図があれば、各種の遺産調査手続きがスムーズに進みますので、早い段階で取得しておくことをおすすめします。
2.3 相続人であることの証明書類
金融機関や各種機関に遺産の照会をする際には、照会者が相続人であることを証明する書類が必要です。前述の戸籍謄本や法定相続情報一覧図に加えて、以下のような書類を準備しておくと手続きがスムーズです。
まず、本人確認書類として運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付き身分証明書が必要です。これらがない場合は、健康保険証と住民票や公共料金の領収書など、複数の書類を組み合わせて本人確認を行います。
被相続人との関係を示すために、相続人自身の戸籍謄本も重要です。特に、被相続人との続柄がすぐに分かるように、被相続人が記載されている戸籍謄本を用意すると良いでしょう。配偶者の場合は婚姻の記載がある戸籍、子の場合は親子関係が記載された戸籍が該当します。
これらの書類は、遺産調査のあらゆる場面で必要になります。特に複数の金融機関に照会する場合は、書類を複数部用意しておくと便利です。法定相続情報一覧図は無料で何通でも発行してもらえますが、戸籍謄本は手数料がかかりますので、必要部数を計算してから取得すると経済的です。
3. 財産の種類ごとの調査方法
相続財産を正確に把握するためには、財産の種類ごとに適切な調査方法を知っておく必要があります。ここでは、主な財産について具体的な調査手順を解説します。
3.1 不動産の遺産調査
不動産は相続財産の中でも高額になることが多く、見落とすと大きな問題になります。被相続人が所有していた不動産を漏れなく把握するための方法を説明します。
3.1.1 市区町村で固定資産課税台帳を確認する
最も確実な方法は、被相続人の住所地の市区町村役場で固定資産課税台帳を閲覧することです。この台帳には、その市区町村内にある被相続人名義の土地・建物がすべて記載されています。
相続人であることを証明する戸籍謄本などを持参すれば、固定資産課税台帳の閲覧や名寄帳(なよせちょう)の写しの交付を受けることができます。名寄帳には、被相続人が所有していた不動産が一覧でまとめられているためとても便利です。
ただし、この方法で分かるのはその市区町村内の不動産のみです。別の市区町村に不動産を所有している可能性がある場合は、それぞれの自治体で調査する必要があります。
3.1.2 権利証や登記識別情報から調べる
被相続人の自宅に保管されている権利証(登記済証)や登記識別情報通知を探すことも有効です。これらの書類には不動産の所在地や地番が記載されているため、不動産の特定ができます。
権利証が見つかったら、その記載内容をもとに法務局で登記事項証明書を取得し、現在の所有者が被相続人本人であることを確認しましょう。
3.1.3 全国の不動産を網羅的に調査する方法
被相続人が複数の自治体に不動産を所有していた可能性がある場合、すべての自治体を調べるのは困難です。このような場合には、固定資産税の納税通知書や課税明細書を探す方法が効果的です。
毎年4月から6月頃に送られてくる固定資産税の納税通知書には、所有するすべての不動産が記載されています。また、郵便物や通帳の記録から固定資産税の引き落としがあった自治体を特定することもできます。
ただし、納税通知書や課税明細書には非課税になっている私道などの土地が含まれていないことがあり、遺産を見落としてしまう可能性があるので注意が必要です。
3.2 預貯金口座の遺産調査
預貯金は相続財産の中でも代表的なものですが、複数の金融機関に口座を持っている場合、すべてを把握するのは簡単ではありません。
3.2.1 通帳や郵便物から金融機関を特定する
まずは被相続人の自宅で通帳やキャッシュカード、金融機関からの郵便物を探しましょう。通帳が見つからない場合でも、金融機関からの取引明細書やダイレクトメールがあれば、その金融機関に口座がある可能性が高いといえます。
また、手帳やメモ、スマートフォンの記録なども手がかりになります。近年では通帳を発行しないネット銀行の利用も増えているため、パソコンやスマートフォンの履歴も確認しましょう。
3.2.2 取引履歴の開示請求
金融機関が特定できたら、その金融機関の支店に連絡して口座の有無を照会します。相続人であることを証明する戸籍謄本などを提示すれば、口座の存在や残高を教えてもらえます。
さらに過去の取引履歴を開示してもらうこともできます。取引履歴を確認することで、他の金融機関への送金記録などから新たな口座を発見できることもあります。
ただし、取引履歴が取得できる期間が請求時点から10年程度に限られていることが多いため注意が必要です。入出金の履歴を確認したい場合は早期に取得することをおすすめします。
3.2.3 ゆうちょ銀行の貯金照会サービス
ゆうちょ銀行では、相続人が全国の貯金の有無を一括で照会できる「貯金等照会サービス」があります。
どこの郵便局に口座があるか分からない場合でも、最寄りのゆうちょ銀行または郵便局の窓口で相続人であることを証明すれば、全国の口座を調べてもらえます。
3.3 株式や投資信託の遺産調査
株式や投資信託などの有価証券を保有していた場合、証券会社に預けている場合と、株券を自宅で保管している場合があります。
3.3.1 証券保管振替機構への照会
どこの証券会社に口座があるか分からない場合には、証券保管振替機構(通称:ほふり)に登録済加入者情報の開示請求をする方法が有効です。この制度を利用すると、被相続人が口座を開設していた証券会社の一覧を取得できます。
開示請求には相続人であることを証明する戸籍謄本などが必要で、手数料は1件につき数千円程度です。開示請求は証券保管振替機構のウェブサイトから手続き方法を確認できます。
3.3.2 配当金の支払通知書から調べる
株式を保有していれば、配当金の支払通知書が郵送されてきます。被相続人宛の郵便物の中にこうした書類がないか確認しましょう。
支払通知書には証券会社や信託銀行の名称が記載されているため、取引先の特定に役立ちます。
3.4 生命保険金や損害保険の調査
生命保険金は相続財産そのものではありませんが、相続税の課税対象になるため調査が必要です。また、被相続人が契約者で、かつ、死亡時にまだ解約していなかった保険契約の権利(解約返戻金相当額など)は相続財産に含まれることがあります。
3.4.1 保険会社への直接照会
保険証券や保険会社からの通知が見つかれば、その保険会社に連絡して契約内容を確認します。保険証券が見つからない場合でも、保険会社に直接照会することで契約の有無を調べることができます。
また、生命保険協会が提供する生命保険契約照会制度を利用することで、複数の生命保険会社に一括で照会することも可能です。
3.4.2 団体信用生命保険の確認
住宅ローンを組んでいた場合、団体信用生命保険(団信)に加入していることがあります。被相続人が死亡すると、この保険によって住宅ローンの残債が完済されるため、ローン返済義務がなくなります。
住宅ローンを借りていた金融機関に連絡して、団信の加入状況を確認しましょう。
3.5 自動車や貴金属などの動産
自動車については、車検証を探すことで所有者を確認できます。軽自動車の場合は軽自動車検査協会、普通自動車の場合は運輸支局で登録事項等証明書を取得することもできます。
貴金属、美術品、骨董品などの動産は、自宅を丁寧に探すしか方法がありません。貸金庫を利用していた可能性もあるため、金融機関に貸金庫契約の有無を確認することも重要です。
これらの調査を個人で行うのは時間と労力がかかります。特に複数の金融機関に照会する場合や、遠方の自治体に問い合わせる必要がある場合には、弁護士に依頼することで効率的に調査を進めることができます。

4. 負債の遺産調査方法
相続では、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。負債の存在を見落とすと、相続放棄の期限を過ぎてしまい、予期せぬ返済義務を負うリスクがあるため、負債の調査は非常に重要です。
故人が借金について家族に話していないケースも多く、相続人が知らないうちに多額の債務を抱えていた可能性もあります。負債の調査は、プラスの財産調査と並行して早めに進めることが大切です。
4.1 個人信用情報の開示手続き
個人信用情報機関に登録されている情報を開示請求することで、故人の借入状況を確認できます。個人信用情報には、クレジットカードの利用状況、カードローン、消費者金融からの借入、住宅ローンなどの情報が記録されています。
相続人は、法定相続人であることを証明する書類を提出することで、故人の信用情報を取得できます。この手続きにより、見落としがちな少額の借入や、滞納している支払いなども把握できます。
4.1.1 CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターへの請求
日本には3つの主要な個人信用情報機関があり、それぞれに照会する必要があります。
金融機関によって登録している機関が異なるため、すべての機関に開示請求をすることで漏れなく借入状況を把握できる可能性があります。
| 信用情報機関名 | 主な加盟会社 |
|---|---|
| CIC(シー・アイ・シー) | クレジットカード会社、信販会社 |
| JICC(日本信用情報機構) | 消費者金融、クレジットカード会社 |
| 全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 銀行、信用金庫、信用組合 |
開示請求には、被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本、請求者が相続人であることを証明する戸籍謄本、請求者の本人確認書類が必要です。郵送での請求の場合、通常、回答までに1~2週間程度かかることが多いです。
ただし、信用情報機関に登録されるのは主に金融機関からの借入です。個人間の借金や、登録されていない貸金業者からの借入は把握できないため、他の方法と組み合わせて調査する必要があります。
4.2 不動産の抵当権設定状況の確認
不動産を所有している場合、その不動産に抵当権が設定されているかどうかを確認することで、住宅ローンや事業資金の借入の有無が分かります。登記簿謄本の権利部(乙区)を確認すれば、抵当権の設定状況を把握できます。
登記簿謄本は法務局で誰でも取得できます。オンラインでの請求も可能で、登記情報提供サービスを利用すれば即座に確認できます。抵当権が設定されている場合、債権額や債権者の情報も記載されています。
抵当権が設定されていても、すでに完済している場合があります。その場合でも抹消登記がされていなければ登記簿に残っているため、実際の残債については金融機関に直接問い合わせる必要があります。
また、根抵当権が設定されている場合は、複数の借入や事業上の取引に対する担保となっている可能性があるため、より詳細な調査が必要です。
4.3 連帯保証人になっていないか調べる方法
故人が他人の借金の連帯保証人になっていた場合、その保証債務も相続の対象となります。連帯保証債務は、主債務者が返済している限り請求されないため、相続人が気づかないまま相続してしまうケースがあります。
連帯保証人になっているかどうかを調べるには、まず故人の書類を確認します。保証契約書、金銭消費貸借契約書の写し、公正証書などが残っていないか探しましょう。
また、故人が経営者や個人事業主だった場合、事業資金の借入に際して連帯保証人になっている可能性が高くなります。取引のあった金融機関に直接照会することも有効です。
信用情報機関の開示情報では、本人の借入だけでなく保証債務の情報も一部確認できます。ただし、すべての保証債務が登録されているわけではないため、過信は禁物です。
友人や親族の保証人になっているケースでは、相続後に主債務者が返済不能になって初めて判明することもあります。故人の交友関係や事業上のつながりについても、可能な範囲で情報収集しておくことが望ましいでしょう。
5. 弁護士会照会制度による遺産調査
遺産調査を個人で行うと、時間がかかったり、調査できる範囲に限界があったりします。
弁護士に依頼することで、弁護士会照会制度という特別な手続きを活用して、効率的かつ網羅的に遺産を調査することが可能となります。
弁護士会照会制度は、弁護士法第23条の2に基づく制度です。
弁護士が受任している事件について、必要な調査を行うため、所属する弁護士会を通じて官公庁や企業などに対して照会をかけることができます。
この制度を利用することで、相続人個人では回答を得られない情報についても、弁護士であれば公的な照会として回答を受けられるケースがあります。
金融機関、証券会社、保険会社など、個人からの問い合わせには慎重な対応をする企業でも、弁護士会照会には回答することがあります。
ただし、すべての照会に必ず回答が得られるわけではありません。照会先によっては回答を拒否するケースもありますが、多くの場合は協力的な対応が得られます。
金融機関への口座照会では、被相続人が口座を持っていた可能性のある銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協などに対して、口座の有無、残高、取引履歴を照会できます。全国展開している銀行については本店に一括照会することで、支店を特定せずに全支店の口座を調査することも可能です。

6. 遺産調査の期限と注意点
相続が発生した際の遺産調査には、法律で定められた重要な期限があります。この期限を過ぎてしまうと、相続放棄ができなくなったり、相続税のペナルティを受けたりする可能性があるため、注意が必要です。
6.1 相続放棄は3ヶ月以内に判断が必要
相続放棄を検討する場合、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。この期間を「熟慮期間」といいます。
この3ヶ月という期間は、被相続人が亡くなったことと、自分が相続人であることの両方を知った日から計算されます。
たとえば、疎遠だった親族の場合、死亡の事実を後から知ったときは、その時点から3ヶ月のカウントが始まります。
遺産調査が3ヶ月以内に完了しない場合は、家庭裁判所に「相続の承認または放棄の期間の伸長」を申し立てることができます。この申立ては、3ヶ月の期限が過ぎる前に行う必要があり、認められれば一定期間の延長が可能です。
ただし、延長が認められるためには、調査が必要な合理的な理由を示さなければなりません。
特に注意すべきは、この期間内に相続財産の一部を処分したり、使ってしまったりすると、単純承認したものとみなされ、相続放棄ができなくなることです。
6.2 相続税の申告期限は10ヶ月
相続税の申告と納付は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。
この期限は相続放棄の期限よりも長いですが、遺産の調査や評価、遺産分割協議などに時間がかかるため、余裕をもって進めることが重要です。
相続税の申告が必要となるのは、遺産の総額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合です。たとえば、法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4800万円となります。
10ヶ月の期限内に申告をしなかった場合、無申告加算税が課されます。これは本来納めるべき税額に対して15%から30%が加算されるもので、さらに納付が遅れた日数に応じて延滞税も発生します。
また、期限内に申告をしても、申告内容に誤りがあり追加で税金を納める場合には、過少申告加算税が課されることがあります。そのため、遺産調査は正確かつ網羅的に行うことが大切です。
なお、10ヶ月以内に遺産分割協議がまとまらない場合でも、いったん法定相続分で申告を行い、後日、遺産分割が確定した時点で修正申告または更正の請求を行うことができます。
6.3 早期に調査を開始すべき理由
遺産調査は相続が発生したら、できるだけ早く開始することをおすすめします。その理由はいくつかあります。
第一に、金融機関や役所への照会には時間がかかることが多いという点です。特に複数の金融機関に口座がある可能性がある場合、それぞれに照会をかけ、回答を待つ必要があります。金融機関によっては回答までに2週間から1ヶ月程度かかることもあります。
第二に、相続人が複数いる場合、戸籍謄本などの必要書類を揃えるだけでも時間がかかります。被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を取得する必要があり、転籍を繰り返している場合は複数の市区町村から取り寄せなければなりません。
第三に、遺産の中に不動産がある場合、評価額の算定に専門的な知識が必要になります。相続税の申告においては、路線価や固定資産税評価額を基に計算しますが、土地の形状や接道状況によって補正が必要となるケースもあり、時間がかかることがあります。
第四に、負債の調査も重要です。借金や保証債務が後から判明すると、すでに相続放棄の期限を過ぎている可能性があります。個人信用情報機関への照会は相続人であれば可能ですが、手続きには戸籍謄本などの書類が必要で、回答にも時間がかかります。
さらに、予期しない財産が見つかることもあります。たとえば、被相続人が若い頃に購入した地方の不動産や、忘れていた証券口座などです。これらは固定資産税の納税通知書や配当金の支払通知書から判明することがありますが、郵便物の整理にも時間が必要です。
弁護士に遺産調査を依頼する場合でも、依頼してすぐに結果が出るわけではありません。弁護士会照会制度を利用する場合、申請から回答まで通常1ヶ月から2ヶ月程度かかります。そのため、相続放棄を検討している場合は、特に早急に動き出す必要があります。
また、相続人間でトラブルが発生する可能性も考慮すべきです。遺産の範囲が明確でないまま時間が経過すると、相続人間で疑心暗鬼が生まれ、関係が悪化することがあります。早期に透明性のある調査を行うことで、無用なトラブルを避けることができます。
7. よつば総合法律事務所が選ばれる理由
7.1 相続チームによるサポート
当事務所には相続に特化した専門チームを設置しています。定期的に開催しているミーティングでノウハウの共有や案件の検討を行うことで、経験豊富な弁護士が依頼者にとっての最良の解決策を見つけます。
7.2 他の専門家との協力によるワンストップ対応
相続が発生したときは、税金の申告や登記などの手続きのために弁護士以外の専門家の協力が不可欠です。
当事務所では、連携している税理士や司法書士、不動産鑑定士と共にワンストップで案件の解決に対応することが可能です。
7.3 アクセス良好な事務所
当事務所は大名古屋ビルヂング内に事務所を構えています。名古屋駅直結でアクセス良好のため、愛知県内の方だけでなく、三重県や岐阜県の方でも気軽にお越しいただけます。
7.4 オンラインでの相談可(全国対応可能)
親族間の相続のトラブルは精神的な負担が大きいことが多いです。当事務所は、早急なご相談に対応するため、依頼者の希望に合わせて電話の他にもZoomなどのオンラインでのご相談を受け付けております。
また、相談は全国対応可能です。
7.5 初回相談無料
当事務所では、相続に関するご相談は初回60分無料で対応いたします。弁護士費用が発生する場合は、事前にお見積りを作成いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。
8. まとめ:早めに弁護士に相談
相続財産が不明な場合、遺産分割協議や相続放棄の判断ができず、相続税申告にも支障をきたすことがあります。
不動産は固定資産課税台帳、預貯金は金融機関への照会、株式は証券保管振替機構への問い合わせなど、財産の種類ごとに調査方法が異なります。
また、個人信用情報機関への開示請求により負債の調査も必要です。
弁護士に依頼すれば、弁護士会照会制度を活用して効率的かつ網羅的な調査が可能になります。
相続放棄は3ヶ月以内、相続税申告は10ヶ月以内という期限があるため、早期に調査を開始することが重要です。複雑な遺産調査でお困りの際は、相続に精通した弁護士への相談をおすすめします。
無料相談実施中






