長年親密な関係を築いてきたいとこの遺産の分与を受けられた事例

分類相続・その他
業務の内容特別縁故者に対する財産分与の申立て
依頼者の立場故人のいとこ(依頼者と故人のそれぞれの父親が兄弟)
相続人なし
担当弁護士加藤貴紀

ご相談内容

依頼者のAさんは、故人と同い年でした。父親同士が兄弟で家も近所だったことから、幼少期からよく一緒に遊ぶなどの親密な関係で、大人になってもAさんと故人は地元に住み、長年にわたって交流を続けました。

故人が幼少期に両親を亡くしていたこともあって、経済的・生活的な援助を継続的に行い、Aさんと故人は家族同然の関係でした。

故人は生前結婚せず、子供もいなかったため、AさんやAさんの子に遺産を相続してほしいと思い、遺言を作成する準備をしていました。

しかし、遺言を作成する直前に、元々患っていた病気が急に悪化して、Aさんよりも先に亡くなってしまいました。

Aさんは、故人が亡くなった後に葬儀や法要を開催し、墓守も行っていました。Aさんは、故人と家族同然の関係であったことから、故人の遺産を受け取ることができないかと思い、当事務所にご相談されました。

ご依頼後の対応

まずは、当事務所で故人の相続人の調査を行いました。具体的には、故人の本籍を参考にして出生から死亡するまでの間の戸籍を取り寄せました。

すべての戸籍を取り寄せたところ、故人に相続人がいないことを戸籍上で確認できたため、裁判所に相続財産清算人選任の申立てを行いました。

相続財産清算人が選任されたあと、Aさんが故人の特別縁故者であることを主張して、特別縁故者に対する財産分与の申立てを行いました。

特別縁故者に対する財産分与の申立てを行うときは、Aさんと故人の生前の関係がわかる資料(写真、日記、医療・介護記録など)を準備し、裁判所に対してできる限りの説得を行いました。

そうしたところ、1億6000万円あった遺産のうち4000万円を分与してもらうことができました。

解決のポイント

本件のポイントは以下の2点です。

① 客観的な資料の準備と整理

② 詳細な陳述書の作成

① 客観的な資料の準備と整理

特別縁故者に対して財産分与が認められるためには、申立人が「特別縁故者」に当たることが必要です。

特別縁故者として認められるためには以下のいずれかに該当しなければなりません。

  1. 被相続人と生計を同じくしていた者
  2. 被相続人の療養看護に努めた者
  3. その他被相続人と特別の縁故があった者

本件では、「生計を同じくしていた者」や「療養看護に努めた者」に該当する事情がなかったため、「特別の縁故があった者」として認められるように主張をしました。

そこで、写真、日記、医療・介護記録などの客観的な資料を提出することで、Aさんと故人が、生前に密接な関係を有していたことを立証しました。

② 詳細な陳述書の作成

特別縁故者であることを主張する際、申立人と故人の長期間にわたる関係を裁判所に説明する必要があります。

しかし、客観的な資料だけで全ての事実を立証することは簡単ではありません。そのため、客観的な資料だけでは証明しきれない具体的な交流の経緯や当時の状況について、申立人自身の言葉で詳細に説明する「陳述書」を作成し、全体としての信憑性を補強することが重要です。

陳述書を作成するときは、裁判所が陳述書の内容に納得してくれるよう、できるだけ具体的かつ詳細な内容になることを心がける必要があります。

まとめ

法定相続人でない人が遺産を取得するためには、特別縁故者に対する財産分与の申立てを行う必要があります。

特別縁故者であることを立証するためには、裁判所を納得させられるよう、しっかりと準備を行う必要があります。

どのような資料によって立証する必要があるかは、ケースバイケースです。気になることがあれば弁護士にご相談のうえ、手続きを進めることをおすすめします。

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